オーストラリア技能移民2026:半導体エンジニアにまだ開かれた道
30秒サマリー * オーストラリアのskilled migrationの門は2026年に狭まったが、閉じてはいない:ポイントテストの最低65点、実際の189招待ラインは85〜95点台。 * 2026年の強化4点セット:Graduate visa(485)の手数料が2026年3月に2,300ドルから4,600ドルへ2倍、Graduateビザの年齢上限35歳、英語基準IELTS 6.5、2026年10月2日から学生ビザの家族帯同が事実上禁止。 * 半導体エンジニアの典型的な点数計算:年齢30点+英語20点+海外経歴15点+学位15点+シングル10点=90点。計算が合えば、勝負は点数ではなく職種の需要だ。 * 率直な警告:オーストラリアに最先端ファブはない。チップ設計の仕事は希少で、実際の仕事は防衛・鉱山機器・医療機器・量子技術の周辺にある。防衛は市民権が必要だ。 * 代替案の比較:カナダのExpress Entryは州政府の指名なしに連邦ポイント制(CRS)で招待する。どちらも英語の点数が勝負どころだ。 イントロ:門が狭まったという噂と、点数表の真実 オーストラリア移民の
30秒サマリー
- オーストラリアのskilled migrationの門は2026年に狭まったが、閉じてはいない:ポイントテストの最低65点、実際の189招待ラインは85〜95点台。
- 2026年の強化4点セット:Graduate visa(485)の手数料が2026年3月に2,300ドルから4,600ドルへ2倍、Graduateビザの年齢上限35歳、英語基準IELTS 6.5、2026年10月2日から学生ビザの家族帯同が事実上禁止。
- 半導体エンジニアの典型的な点数計算:年齢30点+英語20点+海外経歴15点+学位15点+シングル10点=90点。計算が合えば、勝負は点数ではなく職種の需要だ。
- 率直な警告:オーストラリアに最先端ファブはない。チップ設計の仕事は希少で、実際の仕事は防衛・鉱山機器・医療機器・量子技術の周辺にある。防衛は市民権が必要だ。
- 代替案の比較:カナダのExpress Entryは州政府の指名なしに連邦ポイント制(CRS)で招待する。どちらも英語の点数が勝負どころだ。
イントロ:門が狭まったという噂と、点数表の真実
オーストラリア移民の話を出すと二派に分かれる。「移民省のハードルは毎年上がる」という派と、「それでもエンジニアはいける」という派だ。2026年10月現在、どちらも正しい。ハードルは実際に上がった。だがポイントテストというゲームのルール自体は変わっておらず、このルールを数字で解けば、半導体エンジニアにとってオーストラリアのpermanent residencyは依然として計算可能なプロジェクトだ。
この記事はバラ色の青写真ではない。2026年に実際に強化されたもの — 手数料の暴騰、35歳の年齢上限、学生ビザの家族帯同禁止 — をまずさらけ出し、次にポイントテストの点数合算メカニズムをエンジニアの例で解剖し、Engineers Australiaのskills assessment、189・190・491ビザの違い、そして最も重要な問い — 「で、オーストラリアに半導体の仕事はあるのか?」 — に率直に答える。最後にカナダExpress Entryとの比較、そして韓国人エンジニア向けテックツリー3種を提示する。
本論1:2026年の強化 — 実際に何が変わったか
まずファクトから整理しよう。以下はすべて2026年に施行された措置だ。
手数料引き上げ。 Temporary Graduate visa(subclass 485)の申請手数料が2026年3月1日から2,300豪ドルから4,600豪ドルへ2倍になった。成人の帯同家族は2,300ドル、18歳未満の子は1,160ドルだ。そして2026年7月1日付けでビザ手数料が一斉引き上げされ、学生ビザ(500)は2,500ドル、485はある情報源の基準で5,750ドル、Skilled Independent(189)は6,135ドル、Skilled Nominated(190)は6,140ドルになったと報じられた。つまり留学→卒業ビザ→永住権の3段階コースで、ビザ手数料だけで1人あたり約14,400ドルかかる。(Source: Home Affairs fee schedule via aroundschools.com.au, fee hike report)
年齢上限35歳。 485ビザの申請可能年齢が35歳以下に引き下げられた(研究修士・博士は50歳まで例外、香港・BNOパスポート所持者も例外)。skilledビザ(189・190)の招待時点の年齢上限は45歳未満だ。年齢点数は25〜32歳が30点で最高、33〜39歳が25点、40〜44歳が15点だ。これは誰にも変えられない変数だ。
英語基準の引き上げ。 485の英語要件は2024年3月からIELTS 6.5(各バンド6.0以上)に上がった。ポイントテストで点数が付くのはProficient(IELTS各7.0、10点)とSuperior(IELTS各8.0、20点)だ。Competent(IELTS 6.0)は0点だ。英語20点は事実上、招待の可否を分ける単一最大の変数だ。
学生ビザの家族帯同禁止(2026年10月2日施行)。 最も最近の強化だ。大多数の学生ビザ(500)申請者はもはや配偶者・子を帯同できず、家族の後からの合流も塞がれ、大多数はオーストラリア国外から申請しなければならない。博士課程、一部の太平洋・東南アジア諸国の国民、全額奨学生などは例外だ。(Source: aroundschools.com.au)
これらの強化に共通するメッセージはひとつだ。オーストラリアは「卒業後にひとまず居座る」式の経路を閉じ、最初からskilled migrationのポイント制に直行する人を求めている。韓国でキャリアを積んだエンジニアにとってはむしろ有利な構図だ。オーストラリア留学なしに、海外経歴で直接点数を積むルートが開いているからだ。

本論2:ポイントテスト — エンジニアの点数合算術
Skilled migrationの核心はポイントテストだ。189・190・491すべてに適用され、Expression of Interest(EOI)提出の最低ラインは65点だ。しかし65点は「宝くじの応募券」にすぎず、2026年の189の実際の招待ラインは職種により85〜95点台、190は75〜85点台、491は70〜80点台(指名ボーナス込み)と報じられる。
項目別の点数は以下の通りだ。
| 項目 | 基準 | 点数 |
|---|---|---|
| 年齢 | 25〜32歳 | 30 |
| 33〜39歳 | 25 | |
| 40〜44歳 | 15 | |
| 英語 | Competent(IELTS 6.0) | 0 |
| Proficient(IELTS 7.0) | 10 | |
| Superior(IELTS 8.0/PTE 79) | 20 | |
| 海外経歴 | 3〜5年 | 5 |
| 5〜8年 | 10 | |
| 8年以上 | 15 | |
| 学位 | 学士 | 15 |
| 博士 | 20 | |
| その他 | シングル申請者または配偶者の技能点数 | 10 |
| 州政府の指名(190) | 5 | |
| リージョナルの指名(491) | 15 |
(Source: Think Visa points table, Home Affairs points test)
では半導体エンジニアの例で合算してみよう。30歳、学士、海外経歴8年、IELTS各8.0、未婚:年齢30+英語20+海外経歴15+学位15+シングル10=90点。189の招待ラインに入る点数だ。英語だけProficient(7.0)に落ちれば80点 — 190の州政府指名(+5点)を狙うべき区間だ。この計算が示すのは単純だ。経歴と年齢では点数を上げられず、上げられるのは英語だけだ。 IELTS 7.0から8.0に上げる10点が189と190の差だ。
もうひとつ:職種が重要だ。Electronics Engineer(ANZSCO 233411)は2025年基準でQueensland・South Australia・ACTでのみshortage判定を受け、2025-26会計年度の189招待ラウンドでの当該職種の招待数は微々たるものだったという分析がある。点数があっても職種の需要がなければ招待は来ない。「エンジニアはいける」という言葉の隠れた条件がまさにこれだ。

本論3:Engineers Australiaのskills assessment — 最初の関門
ビザ申請の前に必ず経なければならないのがskills assessmentだ。エンジニア職種はEngineers Australia(EA)が審査機関だ。ポジティブな判定(positive outcome)がなければ点数を主張できない。
経路は2つだ。
- Accredited qualification経路:Washington Accordなど国際認証を受けた学位の所持者は簡易審査。韓国のABEEK認証プログラムもWashington Accord署名国の体系の中にあるが、認定の可否はプログラム単位なので、本人の学科の認証状態を直接確認しなければならない。
- CDR(Competency Demonstration Report)経路:非認証学位の所持者はCareer Episodes 3編(各1,000〜2,500語)、Summary Statement、CPD記録を提出する。本人のプロジェクトをEAの能力基準にマッピングする文書作業で、技術英語のライティングが核心だ。
手数料は経路別に数百〜1,500豪ドル台で、毎年7月に引き上げられる。EAの公式手数料ページで申請前に確認すること。(Source: Engineers Australia migration skills assessment)
実務のコツをひとつ。Career Episodesは「自分が何を設計し、どんな問題を解いたか」を書く文書だ。ファウンドリのNDAでディテールを書けない場合が多いが、EAの審査は会社の機密ではなく本人のエンジニアリング判断を見る。数値の代わりに方法論・意思決定プロセスを書く方式で解ける。
本論4:189 vs 190 vs 491 — 3つのビザの性格の違い
- 189 Skilled Independent:州政府の指名なしに連邦ポイントだけで行く直接永住権。最もすっきりしているが招待ラインが最も高い(85〜95点台)。
- 190 Skilled Nominated:州政府の指名を受けて+5点のボーナス。永住権を直接取得。当該州の職種需要リストに本人の職種がなければならず、州ごとに追加条件(居住・経歴・年収)が付く。
- 491 Skilled Work Regional:リージョナル(地方)の指名または家族の後援で+15点のボーナス。5年の暫定ビザで、条件を満たせば191永住権へ転換。点数が足りないときの迂回路だが、リージョナル居住の義務が伴う。
戦略的に見れば189は「点数で勝負」、190は「州政府の需要に合わせる」、491は「点数不足ならリージョナルで迂回」だ。半導体エンジニアはElectronics Engineerの職種コードでSouth Australia(アデレード — 量子・防衛スタートアップがある)のような州の需要を狙う190戦略が現実的だ。

本論5:率直な問い — オーストラリアに半導体の仕事はあるのか
ないと言えば嘘になり、多いと言えばもっと大きな嘘になる。ファクトはこうだ。
オーストラリアに最先端ファブはない。純粋なチップ設計(digital RTL-to-GDSのような)の仕事は希少だ。実際の求人広告を見るとこんなものだ。アデレードのQuantX Labs(量子・精密測定技術、回路設計・組み込み)、シドニーのGaNレーザープロセスエンジニア(量子・バイオ・防衛用)、Cochlear(医療機器)のような医療・防衛・鉱山機器周辺の電子工学のポスト。そして業界分析によると、オーストラリアの電子エンジニアの仕事の重心は設計(design)よりテスト・検証(V&V)、ハードウェア品質、コンプライアンスにある。
最大の罠は防衛だ。オーストラリアの防衛電子工学ポジションは十中八九、Australian citizenshipとNV1セキュリティクリアランスを要求する。永住権者では応募すらできないポストが多い。つまり「オーストラリアに行ってチップ設計をする」という計画は、市民権取得まで防衛の門が閉じていることを前提に立てなければならない。
それでも機会はある。鉱山の自動化(オーストラリアは鉱山技術強国)、医療機器、量子技術、再生可能エネルギー用のパワーエレクトロニクス。これらの領域は半導体エンジニアのアナログ・電力・システムのスキルと接している。「チップ設計」という肩書きは置いて「electronics engineer」として視野を広げるのが現実的なアプローチだ。
本論6:代替案 — カナダExpress Entry
オーストラリアが狭く見えれば、自然と見るのがカナダのExpress Entryだ。構造は似ている(連邦ポイント制、CRSという点数)。違いは2つ。第一に、州政府の指名なしに連邦の招待だけでも永住権が出る — オーストラリアの190のように州リストにしがみつく必要がない。第二に、STEM職種を狙ったカテゴリー招待があり、エンジニアに別トラックが開くときがある。
欠点も明らかだ。カナダは招待点数(CRS cut-off)がラウンドごとに乱高下し、全体の招待規模が政策によって大きく揺れる。そしてトロント・バンクーバーの半導体エコシステムも米国ほど深くない。どちらにせよ共通の勝負どころは英語の点数だ。IELTS 8.0か7.0かが、オーストラリアでもカナダでも招待の可否を分ける。

韓国人エンジニアのテックツリー
Route A:海外経歴直行189(難易度 ★★★☆☆/報酬 ★★★★★)
- 条件:25〜32歳、IELTS各8.0、海外経歴8年以上、学士以上。
- ルート:Engineers Australiaのskills assessment(CDR)→ EOI 90点台 → 189招待 → 永住権の直接取得。
- 罠:Electronics Engineerの職種需要が州ごとに偏在。招待ラウンドの動向モニタリングが必須。
- 所要:assessment数カ月+招待待ち。ビザ手数料は1人6,135ドル。
Route B:州政府指名190迂回(難易度 ★★★☆☆/報酬 ★★★★☆)
- 条件:Route Aで英語7.0(80点台)にとどまる場合。
- ルート:South AustraliaなどElectronics Engineerの需要がある州政府の指名申請 → +5点 → 190永住権。
- 罠:州ごとに追加条件(当該州の経歴・居住要件)が異なる。州リストは毎年変わる。
Route C:オーストラリア修士+485+190(難易度 ★★★★☆/報酬 ★★★☆☆)
- 条件:35歳以下、修士留学の資金。
- ルート:オーストラリアの修士 → 485(手数料4,600ドル〜)で現地経歴 → 190。
- 罠:2026年基準で総ビザ手数料だけで1人あたり約14,400ドル。10月から学生ビザの家族帯同禁止。年齢・費用のリスクが最も大きい。韓国でキャリアを積んでRoute A/Bで行くのが普通は有利だ。
共通の先行条件:英語。IELTS 7.0→8.0の10点がすべてのルートの分岐点だ。ビザ準備より英語試験の準備が先だ。
Chase's Take
率直に言えば、私は米国のビッグテックの最終ラウンドまで行ったが、ビザのスポンサーシップ問題で落ちた経験がある。そのとき学んだのはひとつだ。移民は実力ゲームであると同時に書類ゲームで、書類ゲームのルールは数字で書かれている。オーストラリアのポイントテストは、そのルールが最も透明に公開されたシステムだ。90点ならいける、80点なら州政府を狙え — 計算が立てば感情が入り込む隙はない。
だから私のtakeは単純だ。オーストラリアを狙うなら英語試験から受けろ。IELTS各8.0が出た瞬間に189の門が開く。出なければ190・491の迂回路を設計し、それでもダメならカナダを見ろ。そしてオーストラリア行きの飛行機に乗る前にこの問いに答えてみろ。「自分はチップ設計がしたいのか、それともelectronics engineerとして食べていくのが目的なのか。」前者ならオーストラリアは答えではない。後者なら、門はまだ開いている。
FAQ
Q1:ポイントテスト65点で永住権が出ますか?
最低提出資格にすぎない。2026年の189の実際の招待ラインは85〜95点台と報じられる。65点は宝くじの応募券だと思え。
Q2:韓国の学位でEngineers Australiaの審査は通りますか?
ABEEK認証プログラムはWashington Accordの体系なので簡易経路の可能性があるが、プログラム単位での確認が必要だ。非認証ならCDR経路(経歴記述書3編)で行く。
Q3:オーストラリアで半導体設計の仕事はできますか?
純粋なチップ設計のポストは希少だ。防衛・医療機器・鉱山機器・量子技術周辺のelectronics engineerのポストが現実的だ。防衛は市民権が必要だ。
Q4:2026年に最も大きく変わったのは何ですか?
485手数料の2倍(2,300→4,600ドル)、485の年齢上限35歳、2026年10月の学生ビザ家族帯同禁止が3大変化だ。
免責:この記事は投資・移民アドバイスではありません。数値・手数料は概算であり、申請前に必ずHome Affairsの公式サイトで確認してください。