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TSMC 2026年第3四半期決算 (2nm・HBM・CoWoS) ― 18の事実

TSMCの2026年第3四半期は売上高US$46.72B、純利益+68.7%、2nmがウェハー売上高の8%、第4四半期ガイダンスUS$52.3~54.3B。公式発表と決算説明会で確認された18の事実に整理した。

TSMC 2026年第3四半期決算 (2nm・HBM・CoWoS) ― 18の事実

結論: TSMCの2026年第3四半期は、AI需要が供給を依然として大きく上回るという経営陣の言葉を数字で証明した四半期だった。売上高は自社ガイダンスの上限を超え、2nmは量産初年度でウェハー売上高の8%に達した。

まず検証: この数字は何を確認するのか

半導体業界では、AI設備投資が実需に先行しているという観測が繰り返されてきた。2026年10月15日に発表されたTSMCの第3四半期決算は、その反論を検証できる最も確かなデータである。TSMCはAIアクセラレータを実際に製造する会社であり、実需がなければこの売上高とマージンは成立しないからだ。一方で経営陣自身、2027年のコンシューマー・価格敏感セグメントには慎重な見方を示した。以下の18の事実は、公式発表資料(2026年10月15日)と同日の決算説明会で確認されたものだけを集めた。

項目 2026年第3四半期 前年同期比
売上高 NT$1,494.24B (US$46.72B) +50.9% (NT$ベース)
純利益 NT$763.06B +68.7%
EPS NT$29.43 (ADR当たりUS$4.60) +68.7%
粗利率 66.4% +6.9pt (59.5% → 66.4%)
営業利益率 58.7% +8.1pt (50.6% → 58.7%)
HPC売上高比率 68% —
クリーンルームで2nmウェハーを検査するエンジニア ― 2nmは2026年第3四半期のウェハー売上高の8%。Source: TSMC Q3 2026 earnings (Oct 15, 2026)
クリーンルームで2nmウェハーを検査するエンジニア ― 2nmは2026年第3四半期のウェハー売上高の8%。Source: TSMC Q3 2026 earnings (Oct 15, 2026)

18の事実

1. 売上高は自社ガイダンス上限をUS$0.92B上回った

第3四半期の売上高はUS$46.72Bで、会社が示していたUS$44.6~45.8Bの範囲の上限を超えた。NT$ではNT$1,494.24B、前年同期比+50.9%、前四半期比+17.6%である。(出典: TSMC公式発表、2026-10-15)

2. 純利益は前年同期比+68.7%

純利益はNT$763.06Bで、前年同期のNT$452.30Bから大きく伸び、前四半期比でも+8.0%だった。利益の伸びが売上高の伸び(+50.9%)を上回ったことは、先端プロセス比率の上昇が収益性に直結したことを示す。(出典: TSMC公式発表)

3. EPSはNT$29.43、ADR換算でUS$4.60

希薄化後EPSはNT$29.43で前年同期比+68.7%、ADR単位ではUS$4.60だった。自己資本利益率(ROE)は45.5%である。(出典: TSMC公式発表および第3四半期マネジメントレポート)

4. 営業利益はNT$876.45B、+75.0%

営業利益はNT$876,445Mで前年同期比+75.0%。営業利益率58.7%は、会社が提示していた範囲の上限を超えた。(出典: TSMC公式発表、損益計算書)

5. 粗利率66.4% ― 2nmの立ち上げが1.3pt押し下げた

粗利率66.4%はガイダンス範囲(65~67%)内だったが、第2四半期の67.7%からは1.3pt低下した。経営陣は主因として2nmの初期量産立ち上げを挙げた。純利益率は51.1%。(出典: TSMC公式発表、決算説明会)

6. 2nmはウェハー売上高の8% ― 1四半期で3%から跳ねた

2nmの出荷はウェハー売上高全体の8%を占めた。第2四半期の3%から2倍以上に拡大し、2025年第4四半期に量産入りした最新ノードが急速に収益源になりつつある。(出典: TSMC公式発表、マネジメントレポート)

7. ノード構成の中心は依然3nm (33%)

ウェハー売上高の比率は3nmが33%、5nmが28%、7nmが10%。2nmと3nmの合計は41%で、最先端の2ノードがウェハー売上高の5分の2を超える。(出典: TSMC公式発表)

8. 7nm以下の先端プロセスがウェハー売上高の79%

先端プロセス(7nm以下)の比率は79%で、TSMCの収益構造が事実上、先端プロセス中心に再編されたことを示す。成熟プロセスはもはやこの会社の成長ドライバーではない。(出典: TSMC公式発表)

9. HPCが売上高全体の68%まで拡大

高性能コンピューティング(HPC)プラットフォームの売上高は前四半期比+22%で、全体の68%を占めた。AIアクセラレータを含むこの部門がTSMC最大の収益源である構図が一段と固まった。(出典: TSMC決算説明会、CFO発表)

10. スマートフォンは21% ― 比率は低下も売上高は増加

スマートフォン売上高は前四半期比+10%増えたが、比率は21%にとどまった。IoTは+5%で4%、車載は+23%で4%、DCEは-12%で1%。HPCの成長が速いための相対的な比率低下である。(出典: TSMC決算説明会)

11. 第3四半期の設備投資はUS$13.84B、累計US$40.64B

第3四半期の設備投資(capex)はUS$13.84B (NT$443B)で、2026年1~9月累計はUS$40.64Bに達した。会社は2026年のcapex予算US$60~64Bを据え置いた。(出典: TSMCマネジメントレポート、決算説明会)

12. 現金・有価証券はNT$4兆、営業キャッシュフローは約NT$920B

第3四半期末の現金および有価証券はNT$4兆(約US$126B)。第3四半期の営業キャッシュフローは約NT$920B、フリーキャッシュフローはNT$476.56Bで、大規模投資と現金積み増しを両立する構造が続く。(出典: TSMC決算説明会、CFO発表)

台湾・アリゾナ・日本で同時に進むファブ拡張とCoWoSパッケージング ― TSMCは世界で約20のファブを建設中。Source: TSMC Q3 2026 earnings call (Oct 15, 2026)
台湾・アリゾナ・日本で同時に進むファブ拡張とCoWoSパッケージング ― TSMCは世界で約20のファブを建設中。Source: TSMC Q3 2026 earnings call (Oct 15, 2026)

13. 第4四半期ガイダンス: 売上高US$52.3~54.3B

経営陣は第4四半期の売上高をUS$52.3~54.3Bと提示した。中間値で前四半期比約+14%。粗利率ガイダンスは65~67%、営業利益率は56.5~58.5%、為替前提はUS$1 = NT$31.8である。(出典: TSMC公式発表)

14. 2026年通期の売上高成長見通しは約+44%へ引き上げ

魏哲家会長兼CEOは、通期売上高成長見通しを米ドルベースで約+44%に引き上げた。前四半期の「40%超」からの再度の引き上げで、根拠として先端プロセス需要の強さを挙げた。(出典: TSMC決算説明会、2026-10-15)

15. 経営陣は「需要が供給能力を大きく上回る」と述べた

質疑応答で魏会長は、需要が現在の供給能力をはるかに上回っており、ギャップを埋めるために努力していると繰り返した。同社は顧客の顧客まで確認し、米国のデータセンター建設の進捗と電力供給状況まで独自に点検しているという。(出典: TSMC決算説明会)

16. 新たな需要ドライバーはエージェンティックAIとオープンソースモデル

経営陣は、チャットボットからAIアシスタントへの移行に伴うエージェンティックAIの採用拡大と、オープンソースAIモデルの普及が、先端シリコンの需要を追加で生んでいると説明した。エージェンティックAI向けCPUとネットワーキングチップの需要も別途のドライバーとして挙がった。(出典: TSMC決算説明会)

17. 生産能力の拡大は世界で約20のファブで同時進行中

TSMCは台湾で先端・先端パッケージングのファブ13拠点、海外で5~6拠点を建設している。2nmファミリーの年間生産能力は2027年に2倍以上となり、A14は2027年にリスク生産、2028年に量産の計画である。3nmでは台南の追加ファブ(2028年上期)、アリゾナ第2ファブ(2027年第3四半期)、日本第2ファブ(2028年)が続く。(出典: TSMC決算説明会)

18. ただし同日、2027年への慎重な発言も出た

魏会長は、部品価格の上昇とマクロ経済の不確実性でコンシューマー・価格敏感セグメントが圧迫されているとし、2027年の事業計画は慎重に策定していると述べた。パッケージングではCoWoSが依然として顧客の第一選択であり、5xレチクルサイズの量産が進行中で、バックエンドの不足を和らげるためのGlobalFoundriesとのインターポーザー協業も確認された。強い決算と慎重な発言が同じ日に出たことが、この四半期の正確な姿である。(出典: TSMC決算説明会)

この18の事実が示すこと

  • 需要の裏付け: 売上高、HPC比率、ガイダンス引き上げが同じ方向を指す。同社自身の点検では、AIアクセラレータの実需は少なくとも2026年末までTSMCの供給能力を上回る。
  • マージンの質: 2nmの立ち上げが粗利率を押し下げる局面でも、営業利益率は58.7%を維持した。次世代ノードの立ち上げコストを吸収しながら稼ぐ構造である。
  • 次の確認ポイント: 第4四半期売上高がガイダンス中間値(約US$53.3B)に届くか、2nm比率が2桁に乗るか、そして2027年1月に出る年間capexの規模である。

よくある質問

Q. TSMCの2026年第3四半期の売上高と純利益は? A. 売上高はNT$1,494.24B (US$46.72B)で前年同期比+50.9% (NT$ベース)、純利益はNT$763.06Bで+68.7%。EPSはNT$29.43 (ADR当たりUS$4.60)である。(TSMC公式発表、2026-10-15)

Q. TSMCの2nm売上高比率はどのくらいか? A. 2026年第3四半期のウェハー売上高の8%である。第2四半期の3%から大きく伸び、3nmは33%、7nm以下の先端プロセス全体では79%を占めた。

Q. TSMCの2026年第4四半期ガイダンスは? A. 売上高US$52.3~54.3B、粗利率65~67%、営業利益率56.5~58.5%である。通期の売上高成長見通しは米ドルベースで約+44%に引き上げられた。

Q. TSMCはAI需要が供給を上回ると実際に言ったのか? A. その通りである。魏哲家会長は2026年10月15日の説明会で、需要が現在の供給能力をはるかに上回ると繰り返し、顧客のデータセンター建設と電力供給まで独自に点検した結果だと説明した。

出典

  • TSMC公式発表「TSMC Reports Third Quarter EPS of NT$29.43」(2026-10-15): https://pr.tsmc.com/system/files/newspdf/attachment/70d8a93214795fa88f83fb47e0e45e7b0435e52b/3Q26%20%28E%29_with%20gudiance_final_wmn.pdf
  • TSMC 3Q26決算説明会トランスクリプト (2026-10-15、SemiWiki掲載全文をMotley Foolトランスクリプトと照合)
  • TSMC 2026年第3四半期マネジメントレポート数値 (capex・ROE・キャッシュフロー)

本記事は情報提供のみを目的とし、投資勧誘ではありません。数値は2026年10月15日のTSMC公式発表に基づきます。

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